地震の際に本震の前に起こることのある
「前震」。
一度は聞いたことがある方も多いかと思います。
「前震は必ず起きる」だとか、
「これは前震なのではないか」だとか、
結構勘違いしている方も多いのが、この前震です。
前震についての正しい知識を身に着けておくことも
大事なことなのではないかと思います。
今回は前震についてお話ししていきます。
本震との見分けはどの部分なのか、についても
お話ししていきますね。
前震とは?
地震活動の本震の前に起きる地震のことです。
大きな地震活動の前兆として起きる地震、ということになりますね。
ただし、この前震は必ず発生するわけではなく、
前震が存在せずにいきなり本震がやってくるケースも多く、
大きな地震=前震が存在する、というわけではありません。
そのため、この「前震」を地震予知に使うことは難しく、
そもそも現代の技術では発生した地震が「前震」なのか、
それとも「本震」なのか、判断することも不可能です。
今後、技術が進歩すれば、そういうこともあるかも
しれませんが、現時点ではどうにもならない、
ということになりますね。
小規模な地震が頻発している場合でも、
それが大きな地震に繋がるとは限らず、
群発地震などである可能性もあります。
それでは、前震について詳しく見ていきましょう。
前震は必ず発生するとは限らない
大きな地震が発生する際に、前震が必ず発生するのかどうか、
と言われれば答えはNoです。
前震となる地震が存在せずに、いきなり大きな地震に
見舞われた地域は、これまでにも多数存在します。
逆に、東日本大震災や2016年の熊本地震においては
本震の前に前震が起きています。
このように、起きる場合と起きない場合があるので、
前震は必ず発生するとは限らず、
前震を地震の予測などに用いることは、現時点では不可能です。
前震を伴う地震、
前震を伴わない地震、
この違いに関しても現時点では具体的には分かっていません。
また、地震がたくさん発生している=大きな地震が来る、でもありません。
小さな地震が頻発してから大きな地震が発生することもありますが
小さな地震が1日に何回も来ても、必ず大きな地震につながるわけではなく
むしろ、全体的に見れば”小さい地震活動だけで終わる”ことが
多いのが現実です。
大きい地震=前震がある、ではありませんし
小さな地震が頻発=大きな地震が来る、ということではありません。
いきなり大きな地震が来ることもあれば、
小さな地震が頻発していても、それだけで終わることもあるのです。
前震の規模は?
前震の規模は、小さな地震であることが多いです。
ただし、東日本大震災や2016年の熊本地震のように、
大きな前震が起きることもあり、
結果的に、その時点ではその地震が「本震」だと思われてしまう、
ということもあります。
後に発生する本震よりも規模は小さいですが、
本震の規模が大きい場合は、この前震でも
最大震度6を記録するような地震なども起きることが
あるので、注意が必要です。
規模に関しては、普通の地震と同じように、
ピンからキリまであるので、
一つだけ言えることは「本震よりは規模が小さい」
ぐらいのことになりますね。
前震の回数は?
前震の回数についても、これは一概には言えません。
最初にも書いたように、そもそも「前震」というものが
存在しない地震もありますし、
逆に、本震が起きるまでの間、かなりの回数の細かい地震が
発生するようなケースも存在します。
東日本大震災などでも、本震発生前に、
多くの前震と思われる地震が発生していました。
回数に関しても具体的に言うことはできませんが、
場合によっては数十回規模の前震が起きる可能性もあります。
いずれにせよ、地震活動が活発になっている場合は、
注意した方が良い、というのは事実でしょう。
ただし、地震頻発=大きな地震ではありません。
それも、覚えておきましょう。
常に警戒は大事ですが、必要以上に不安を感じるのは
精神的な面を考えてもマイナスです。
前震と余震と本震の違い
前震・余震・本震、地震には色々は言葉があります。
前震というのは本震の前に発生する地震活動、
本震は一連の地震活動の中心となる地震で、一番規模の大きいもの、
そして余震は、本震の後に、放出されきらなかったエネルギーなどが
原因で発生する本震よりも小さな地震となります。
前震も本震も余震も、結局は同じ地震活動であり、
地震であることには変わりはありません。
違いとしては、本震と比べると前震・余震の規模は
小さくなることぐらいでしょうか。
ただ、同じ地震であることには変わりがないので、
あくまでも発生する順番によって決まるものであって、
大きな違いはありません。
本震との見分けのつけ方はあるの?
前震を本震と見分けることができるかどうか。
これは、ザンネンながらありません。
発生した地震が、本震なのか前震なのか、
現代の技術で見分けることはできず、
判別は”結果論”で行われます。
例えば、2016年の熊本地震の際には
4月14日に発生した地震が、当初「本震」で
あるとされていました。
当時のニュースでも「今後は余震に注意」と
言う報道がなされており、この地震が本震であることを
疑わない報道がされていました。
が、実際には16日にさらに大きな地震が発生し、
それが本震ということになり、
当初、本震とされていた14日の地震は「前震」であったという
結論が出されました。
つまり、地震が最初に発生した時点で、その地震が
前震なのか本震なのか見分けることができず、
大きな地震が発生して、その後に、最初の地震よりも
規模の大きいモノが発生しなければ、最初の地震が「本震」と
いうことになりますが、
このときのように、最初14日に発生した地震が「本震」と
されているようなケースでも後からさらに大きな地震が
発生すれば、それが「本震」に変わり、
最初「本震」だと思われていたものは「前震」に変わるのです。
今の技術ではこれが限界です。
前震・本震・余震の区別は、結果論としてしか
判別することができないのです。
前震で不安を煽る情報に注意
注意したいことの一つとして
”前震は必ず発生するわけではない”ということです。
しかしながら、最近の地震では必ず
「これは前震だから、注意しろ!」だとか
「このあとに本震が来るぞ!」だとか、そういう不安を煽るような
書き込みを見かけるようになりました。
もちろん、前震かもしれない、という可能性を視野に入れて
行動することは大事な事ですし、悪い事ではありませんが
「このあとに本震が来るのか…」みたいな必要以上の不安を
感じる必要はありません。
実際に前震が存在していない大きな地震はこれまでにも
たくさんあります。
地震活動が落ち着くまで警戒するに越したことは
ありませんが、そういった情報に踊らされて、
必要以上に不安を感じる必要はありませんし、
”前震が必ずあるもの”だと勘違いして、
怯える様なことはしないようにしましょう。
「これは前震だ」などと分かる人はこの世にはいません。
”これは前震なので注意するべき”などと言っている人が
仮にいたとしても、それは根拠のない発言なので、
騙されないようにしてください。
前震の注意点
先にも書いた通り、前震か本震かをその時に判断することは
できません。
なので、注意するべきことは
”そういう可能性もある”として、警戒は怠らないように
することです。
大きな地震があったあとには、これで終わりだ、と油断することなく、
それが前震であるにせよ、本震であるにせよ、気を抜かずに
行動することが大切になるかと思います。
しかしながら、ネットなどの情報に踊らされて、
「これは前震だ」と思い込んでしまって、必要以上に
不安や恐怖を感じることは、かえって、精神的なダメージを
受けてしまいますから、望ましくありません。
警戒してことは必要ですが
前震はないこともある、ということは頭の中に
入れておくと良いかと思います。
また、震災などが起きた際は、被災地の方は
とても不安を感じています。遠い地域だからといって
「これは前震だ~本震に注意!」だとか、
そういう、不安を煽るような書き込みはしないようにしましょう。
前震か本震かなんて、その時の時点では誰にも
分からないのですからね…。
まとめ
現時点で前震は、その時点で前震なのか本震なのか
判断することはできませんし、
前震を地震の予測などに用いることもできません。
また、前震を伴う地震・伴わない地震もありますから、
その判断は非常に難しいことです。
いずれにせよ、前震でもかなりの規模の地震が起きることは
十分に考えられることですから、
どんな地震であっても、注意して備えておくことは
大切なことになります。